スニーカーの劣化について

スニーカーに起こる経年劣化(経年変化)の例をまとめてみました。

アディダス以外にナイキ、プーマ、ニューバランスなどのスニーカーでも起こり得る症状です。

以下は、古いスニーカーを購入する際の注意事項でもあります。


アッパーの劣化(加水分解)

アッパーに人工皮革が使われている場合、経年によってベトベトになったり、ヒビが入り表面が剥がれたりします。

これは人工皮革に合成樹脂又は合成樹脂塗料(ウレタン樹脂塗料)が使用される為、年数が経過するとその合成樹脂に使用される化合物が、水分と反応して分解(加水分解)を起こすのが原因です。

また人工皮革は、加水分解では無く、単に経年劣化による表面のヒビ割れもあります。

劣化が始まるおおよその目安は、人工皮革の種類や環境にも因りますが10年前後です。

アッパーが天然皮革又は合成繊維でも、他のパーツ部分に人工皮革が使われている場合もあるので注意が必要です。古いモデルであれば、人工ヌバック又は人工スウェードが使われていることがあります。


ミッドソール・アウトソールの劣化(加水分解)

ミッドソールとアウトソールの加水分解

スニーカーのミッドソールやアウトソールにポリウレタン(ウレタン樹脂)が使用されている場合、経年によってベトベトになったり、ヒビが入り粉々に崩れたりします。

これはミッドソールやアウトソールに使われるポリウレタンが、水分と反応して分解(加水分解)を起こすのが原因です。

劣化が始まるおおよその目安は、環境にも因りますが10年前後です。


ミッドソールの加水分解

残念ながら、加水分解を防ぐ方法はありません。一番良いのは加水分解が起きる前に履き潰すことです。はっきり言ってこれに尽きると思います。

もし保管するのであれば、高温多湿の場所は避け、乾燥剤を入れてください。そうすれば少なからず加水分解を遅らせることができると思います。

加水分解の対策にも限界があるので、適度に履くことが大事です。数年にも及ぶ長期保管はお勧めしません。


ミッドソールとアウトソールの加水分解

現在、オリジナルスから発売されているスニーカーで、ミッドソールやアウトソールにポリウレタンを使用したモデルは、ほぼ発売されていません。


一応、補足で書いておきますが、現在発売されているニューバランス(NB)のモデルで、ミッドソールにアブゾーブ(ABZORB)、エンキャップ(ENCAP)が使われている場合は注意が必要です。ポリウレタンが使われている為、加水分解は避けて通れません。ある程度長持ちさせたいのであれば、加水分解対策をしなければなりません。尚、Cキャップ(C-CAP)はEVA素材なので加水分解はしません。


アウトソールの硬化

ゴムソールは、経年により硬くなってしまう場合があります。

ゴム本来の役割である弾力性が損なわれてしまい、着用時に支障をきたします。

何十年以上も経過した製品に起こりますが、40年以上経過した製品でも弾力性・柔軟性があり、全く問題なく使用できるものもあります。必ずしも硬化するとは限りません。


アウトソールの黄変(黄ばみ)

白いゴムアウトソールは、経年により黄変してしまう場合があります。

黄変とは読んで字の如く黄色く変色することです。

黄変した部分が汚れ落としでは落ちない場合、元の白い状態に戻すことはかなり難しいです。

ですが、"激落ちくん"のようなメラミンスポンジを使用することで、白い状態にすることはできます。だたこれは研磨剤なので、クリーナーのように汚れそのもの分解しているのではなく、あくまで表面の黄色く変色した部分を削り取り、下層の白い部分を表面に出すという事になります。

ソール表面に若干の凹凸がある場合は、削り取られてツルツルになる場合があります。

余談ですが、ヴィンテージスニーカーの場合、アウトソールの黄変は一つの"味"として評価されている時期もありました。そして、現在ではヴィンテージ感を出す為、敢えてアウソールが黄色(クリーム色)にした復刻品も登場しています。


天然ゴム製アウトソールの白い粉吹き(白い汚れ)

ゴムのブルーム現象

スニーカーやブーツなどの天然ゴム製アウトソールは、白い粉が吹き出たり、白く変色したりする場合があります。

これはゴムに含まれる過剰な配合剤が原因で、それが表面に出てくることから起きます。この配合剤の粉が表面に出て白くなることをブルーム現象と呼びます。


白く粉吹きのようになった汚れを落とすには、艶出し剤を使用します。

レインブーツの場合は専用の艶出し剤が発売されていますが、スニーカーやブーツのアウトソールに使う場合は、"アーマオール"や"クレポリメイト"という製品がオススメです。こういった艶出し剤を使うことで表面の白い汚れを落とすことができます。


ベロの劣化(加水分解)

合成樹脂塗料(ウレタン樹脂塗料など)でコーティングされたベロ(タン)の表面は、経年によってベトベトになったり、ヒビ割れを起こし剥がれたりします。またベロ内のスポンジが劣化し、粉々になる場合もあります。

上の二つの症状は、アディダス仏の1980年代に発売されたバスケットボールシューズにみられる症状です。水洗いで綺麗にコーティングやスポンジの粉を取り除くことは可能です。

コーティングの劣化が始まるおおよその目安は、塗料や環境にも因りますが10年前後です。


履き口・ライニングの劣化(加水分解)

合成樹脂塗料(ウレタン樹脂塗料など)でコーティングされた履き口の場合、経年によってベトベトになったり、ヒビ割れを起こし剥がれたりします。

コーティングの劣化が始まるおおよその目安は、塗料や環境にも因りますが10年前後です。

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